2011年9月15-17日に,日本大学で行われる心理学会大会に連結するかたちで,第2回実務家講演を開催しました。
講師:R. ブル教授(英国レスター大学)
日時:9月18日(日)午後3時~5時
場所:日本大学文理学部
対象:裁判官,検察官,警察官,弁護士等
題目:被疑者へのビデオ録画面接の効果:面接技術の向上のためにも
1970-1980年にかけて,英国のメディア・警察・政府は,警察官による被疑者面接において被疑者が偽りの情報を提供したり,何も情報を提供しなかったりすることが多いことを見いだした。犯罪を犯しているのに虚偽の報告をして「逃げて」しまう者や,数は多くはないが,虚偽自白をする者もいた。このような実態に鑑み,1986年,すべての被疑者への面接を録音することが法制度化された。1980年代後半,録音された面接を対象とした研究が,上級警察官によって(学位論文のための研究として),あるいは政府の命を受けて行われた(ミルン・ブル,2003を参照のこと)。これらの研究により,(1)強固な意志をもつ被疑者の前であきらめてしまう,(2)多くの暗示的/誘導的質問をして,法廷で弁護人や裁判官から批判されるなど,警察官の面接は必ずしも良いとは言えないことが判明した(実際,警察官はほとんど訓練を受けていないことが多かった)。このようなことから,警察官も含まれる委員会が作られ,国によるガイドラインとトレーニングマニュアルが作成された。この研修ではこういった過程を概観し,被疑者の面接をさらに向上させるための最近の研究(嘘の発見も含む)について述べる。
■R. ミルン・R.ブル(著)原聡(編訳)(2003). 取調べの心理学:事実聴取のための捜査面接法.北大路書房
■本研修は,以下の後援を受けています。
日本心理学会 日本認知心理学会 日本犯罪心理学会 法と心理学会 日本学術会議(法と心理学分科会) 北海道大学文学研究科JSTプロジェクト「犯罪から子どもを守る司法面接法の開発と訓練」