公開シンポジウムが下記の日程、会場にて開催されました。
---プログラム---
・挨拶 仲真紀子(領域代表者・北海道大学 大学院文学研究科 教授)
・過去から現在へ
法と人間科学の歴史からの展望(40分)
刑法思想史 石塚伸一(龍谷大学 法科大学院 教授)
法心理(思想)史 サトウタツヤ(立命館大学 文学部 教授)
・現在から未来へ
近年の接点からの展望 (40分)
裁判員裁判 唐沢かおり(東京大学 人文社会系研究科 教授)
治療的司法 指宿信(成城大学 法学部 教授)
・指定討論(20分)
法心理学の第一世代より 浜田寿美男(立命館大学 特別招聘教授)ほか1名に交渉予定
法心理学の第三世代より 藤田政博 (関西大学 社会学部 准教授)
---概 要---
全体として、法と人間科学という領域が実現できることを討論します。
第一部では、西洋において、キリスト教の支配が弱くなり、近代になるにつれ、統治の領域で人間の性質を考える必要がでてきたこと、それが先鋭化したのが刑 法の領域であったこと、そこに近代の申し子のような学問である心理学がかかわって、一時期「法心理黄金期」が築かれたこと、その後それが下火になったこと、について法学と心理学の立場から話題提供します。同時にこうした流れが日本においてどのように影響したのか、についても論じます。こうした話題提供に よって、法と人間科学の根源的正統性を訴えるということになります。
石塚伸一は、近代以降の罪と罰の構成から、どのように法理論が組み立てられ、それがどのように人間の性質を考えることと切り結んだのかを考えます。
サトウタツヤは、近代心理学成立後に、どのように心理学が法実務と切り結ぼうとし、それが成功・失敗した要因について考えます。
第二部では、国家対個人、専門家対民衆という枠で行われてきた裁判を見直す、ということを裁判員裁判(民衆参加型裁判)、治療的司法(懲罰ではないあり 方)を通じて考えます。そして、こうした動向は、法と人間科学を、刑法以外の領域に開いていくことを論じていきます。たとえば、被害者の感情や支援など、 未来の被害を防止するという意味での加害者臨床など、がこれにあたります。また、さらに、民事と心理学が必要とされていることについて論じることができれ ば良いとも考えます。
唐沢かおりは、裁判員裁判が始まることは、法と人間科学にどのようなテーマを突きつけているのか、それを心理学からどのように扱うか、を通じて「法と人間科学」という統一領域の必要性を考えていきます。。
指宿信は、法学の立場から話していただきます。司法臨床・加害者臨床のようなことが話題になっている今、法学がどのようにこれを扱うか、を通じて「法と人間科学」という統一領域の必要性を訴えていきます。