公募班(松本克美):児童期の性的虐待被害は、被害者の心身に長期間にわたり重大な被害を及ぼします。本研究では、児童の性的虐待についての被害者から加害者への損害賠償請求権とその消滅時効・除斥期間の問題を、被害者のレジリエンスの回復という観点から、研究し、具体的な立法提言をしたいと思っています。児童の性的虐待問題に積極的に取り組んでいるアメリカや韓国、ドイツなどとの比較法的検討も行う予定です。
グループ代表
立命館大学大学 松本 克美
児童期の性的虐待被害者のレジリエンスを支援する時効法改革の提言
松本 克美(立命館大学)[民法]
村本邦子(立命館大学大学院応用人間科学研究科教授)、
吉田容子(立命館大学大学院法務研究科教授)、
安田裕子(立命館大学衣笠研究機構専門研究員)、
金成恩(立命館大学グローバル・イノベーション機構専門研究員)
児童期の性的虐待被害は、被害者の心身に長期間にわたり重大な被害を及ぼす。ところで、成人後もこのような被害に起因してPTSD等を発症するなどの症状に苦しむ被害者が加害者を相手取って不法行為責任に基づく損害賠償請求する場合に、「不法行為の時から20年」で損害賠償請求権が消滅するとする民法724条後段の20年間の起算点の解釈が問題となる。
本研究は、日本の時効法の発展、及び、後述するようにこの問題について画期的な時効法改革を2013年6月に実現したドイツや、児童の性的虐待問題に対応する法制度を急激に進めている韓国、また、この問題に先進的に取り組んでいたアメリカなどの実情ををふまえた比較法的検討を行い、児童期の性的虐待が被害者に与える心身への深刻な影響の特質とそのレジリエンス(回復力)に配慮した損害賠償請求権の時効論・時効法を提言することを目的としている。
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