このたび、「John Pratt(ジョン・プラット)氏による講演会」を開催致します。
ご多用中とは存じますが、是非ともご参加ください。
●日 時: 2014年6月30日(月) 午後6時~午後8時
●場 所: 龍谷大学 深草学舎 至心館 1F 矯正・保護総合センター
●講 師: John Pratt(ジョン・プラット)氏
●講 演 内 容: 近著「Contrasts in Punishment」(2013・Routledge)について。
北欧と英米圏(主として英国・オセアニア)の刑罰のあり方の
違いがどこから生まれるのかについての分析。
【講師】 John Pratt 氏
ニュージーランド・ビクトリア大学教授で世界的に著名な犯罪学者。刑罰の比較文化的研究で定評があり、最近ではPenal Populism(ペナル・ポピュリズム)研究で知られる。 2009年に、「Scandinavian Exceptionalism(厳罰化に背を向けるスカンジナビア)」で英国犯罪学会からRadzinowicz賞を受ける。2013年にはニュージーランド王立アカデミーから優れた社会科学者に送られるMason Durie Medalを受賞。
【講演内容】
今回は、近著『Contrasts in Punishment』(2013・Routledge)について講演していただきます。内容は、北欧と英米圏(主として英国・オセアニア)の刑罰あり方の違いがどこから生まれるのかについての分析です。英米圏を中心に1980年代以降厳罰化が進み、法と秩序をスローガンとした力による刑事政策が選択される中で、ノルウェーなどの北欧では、拘禁から社会内刑罰への移行や、TIME誌に世界で一番人道的な刑務所として紹介されたハルデン刑務所の開設など刑務所を含めた刑罰改革が進んでいます。言い換えれば、排除ではなく、包摂による刑罰の在り方が模索されているのです。 イギリスでは、2011年にロンドン北部のトッテナムで黒人男性が警察官に射殺されたことをきっかけに暴動が発生し多数の死傷者がでました。同じ2011年にノルウェーでは77人が殺害されるテロが発生しました。しかし、両者には大きな違いがありました。それは、その後の世論の反応です。イギリスでは、マスコミを中心に前労働党政権時代に採られた子供や貧困層を甘やかす風潮を批判的に論じ、警察力の強化、厳罰主義を求める論調が目立ち、市民もそれに同調しました。ノルウェーでは、首相自ら先頭に立ち寛容の重要性を説き、市民が町中を怒りではなく花束で埋め尽くしました。この違いはどこから来るのでしょうか。今回は、そうした違いをもたらす要因を、社会、政治形態、人種構成、思想、文化といった観点から分析していただきます。