新学術領域研究「法と人間科学」は,法学者,心理学者,社会学者,実務家が
【1】法意識と教育,【2】捜査手続き,【3】裁判員裁判,【4】司法と福祉という4つのフィールドで協同し,
①基礎研究,②社会的実装,③人材育成ができる領域を確立することを目指しています。
具体的には,総括班の支援のもと,10件の研究班と8件の公募班(予定)が5年にわたり研究活動を行い,知見を社会に向けて発信するとともに,そこで得られたフィードバックを基礎研究に投入し,研究と成果の社会実装を推進します。
裁判員制度が開始から数年が経過し,制度の利点や問題が議論されるようになりました。また,司法への国民参加に伴い,法教育,捜査の可視化,虐待への対応,矯正や服役後の課題など,これまであまり目が向けられなかった実務的な問題にも社会的関心が高まっています。科学的根拠(エビデンス)にもとづく解決が望まれる課題として,以下のような問題を挙げることができるでしょう。
こういった問題は基礎的な実験や調査だけでは解決することができません。現実的の法や制度のもとでの人間行動の理解,解明が必要であり,司法・福祉等の実務家との連携や協同がなければ,情報収集も成果還元も困難です。
諸外国では「法と心理学」の枠組みにおいて,領域連携による研究がさかんに行なわれ,科学的根拠にもとづく法制度の構築や,ガイドラインの策定,実務家研修などが推進されています。しかし,我が国ではこういった共同研究が系統的に行なわれることはなく,実務への貢献にも制約がありました。このような現状を踏まえ,本研究課題は,法学者,心理・社会学者,司法の実務家等が協同し,研究や課題解決を行い,人材を育成できる新学術領域の創出を目指します。
具体的には,上記の【1】-【4】に対応する(しかしそれに留まらない)4フィールドを形成し,
10の計画研究班と8件の公募班(予定)が5年にわたり研究活動を行います。
以下,各フィールドにおける計画研究の概要を紹介します。
以上のすべての研究班が【基礎研究】⇒【実務家・市民への知見提供】⇒【実務家・市民からのフィードバック】というサイクルにより研究を進めます。これが本領域の大きな特徴です。