公募班(石崎千景):事件に関する情報の重み付けは、必ずしも情報ごとに独立して行われるとは限りません。ある情報が重視された結果、それ以外の情報については十分に関心を持って議論されなくなるということも起こりえます。情報の重み付けの偏りは、より適切な評議の実現を目指す上で考慮すべき問題だといえます。こうした問題を解消するための方法論を検討することで、より適切に評議が行われるためのガイドラインの提案につながる基盤的な知見を示したいと考えています。
グループ代表
名古屋大学 石崎 千景
公判の「振り返り」が裁判員による情報の重みづけに及ぼす影響の検討
石崎 千景(名古屋大学)
本研究の目的は、テキストマイニングの手法を用いて評議の発話分析を行い、評議において裁判員が焦点化する(目を向ける)情報に偏りを生じさせる心的メカニズムの一端を明らかにすることである。
評議において各裁判員が焦点化する情報は必ずしも一様ではない。こうした焦点化のバラツキは、議論の多様性につながる一方で、評議に偏りを生じさせる可能性があることから、より適切な評議の実現を目指す上で考慮すべき問題である。本研究では、評議に先立ち公判で得られた情報を「振り返る」機会を与えることで、参加者の回顧的な自己意識(retrospective self-awareness)を高めることを試みる。これにより評議で焦点化される情報の偏りが解消されるか検討を行うことで、より適切に評議が行われるためのガイドラインの提案に向けた基盤となる知見を示す。
石﨑 千景 公判の「振り返り」が裁判員による情報の重みづけに及ぼす影響の検討
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