公募班(高橋征仁):青年期における法意識の揺らぎには一定のパターンがあり、人間進化の産物として考えられます。こうしたメカニズムを理解することによって、矯正教育や法教育のあり方を見直し、法的自律性の獲得に向けた指針を得ることができるでしょう。
グループ代表
山口大学 高橋 征仁
青年期における法意識の揺らぎに関する進化心理学的アプローチ
高橋 征仁(山口大学)[社会心理学、進化心理学]
ヒトの<反抗期>を科学的に解明することは、服従や同調にとどまらない、人間の社会性の複雑さや巧妙さを理解するうえで極めて重要である。なかでも、思春期から青年期にかけての<第2時反抗期>に見られる法意識の揺らぎや権威への反抗は、規範に統制された子ども時代から、規範を構成する成人期への転換(法的自律性の獲得)と不可分に結びついていることが予想される。本研究では、青年期に見られる法意識の揺らぎが、思春期の性的発達を契機として生じ、規範の柔軟化や序列化をもたらし、さらにコミュニケーションの戦略の個人的・文化的多様性を生み出していくことを実証的に明らかにする。性は、人間社会の柔軟性や創発性、多様性の源泉であると考えられる。
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