公募班(山崎優子):法律に基づく判断は、しばしば市民感覚から乖離しているという指摘がありま す。こうした両者の乖離は、検察審査会で検察官とは異なる判断がなされた事例 や、裁判員裁判での判決が二審以降の職業裁判官による裁判で棄却された事例か らも示唆されます。本研究では、法律に対する市民の理解度と受容度(つまり、 その法律に納得できるか)の観点からこうした問題を検討し、上記の乖離を生じ させる心的なメカニズムの一端を明らかにすることを目的としています。
グループ代表
北海道大学 山崎 優子
検察審査員の判断を規定する要因および判断に至る心的プロセスについての実証的研究
山崎 優子(北海道大学)
本研究の目的は、検察審査員(市民)が行う起訴・不起訴・不起訴不当の判断を規定する要因を明らかにし、検察審査会で得られる議決の妥当性を議論するうえで基盤となる実証的知見を提供することである。検察審査会では、検察官が事件の被疑者を起訴しないことの妥当性について、市民11人が判断する。しかし検察審査会での判断の妥当性をめぐっては、次のような問題が指摘されている。例えば、「起訴」と判断する場合には被疑者が裁判で有罪になるという確信が必要か、責任の所在についての市民感覚と法的な過失の間でズレが生じているのではないか、といった問題である。また、被害者側の意見陳述が議決に影響しているのではないか、といった問題もある。
こうした問題を念頭に、本研究では、検察審査員の経験者および未経験者を対象にした調査、模擬検察審査会実験を行うことで、検察審査員が議決を行うまでの心的プロセスについて検討を行う。
立命館大学グローバルイノベーション研究機構「法と心理学」研究拠点の創成
http://sites.google.com/site/lawpsych1/
山崎 優子 検察審査員の判断に関する実証的研究